『銀剣のステラナイツ』~星屑舞う学園祭~
監督:
引き続き幕間、紫苑ー冬海ペアからとなります。
幕間 紫苑ー冬海ペア
冬海:
夕食を予定通り喫茶店で食べて出ると外はもう真っ暗で、学校からはほどよく離れているにも関わらず前夜祭の喧噪がわずかに伝わってくる。それを背に僕――篠原冬海の家へと戻ってきた。鍵を開け、紫苑さんを先に通す。
「どうぞ、あちこち片付けきれてませんが」
紫苑:
「いや...突然お邪魔したのは私の方だし。気にしないで」
靴を脱いで彼の部屋にあがりこむ。夜に男性の部屋にひとりで入るのは、と思わないではないのだが、ひと目につかない場所の心当たりはなかったので、仕方がない。寮の自分の部屋に彼を呼ぶよりは、ずいぶんましだろう。
冬海:
短い廊下を通り、なんとか床面積を広げた対面キッチンのあるダイニングへ誘導して椅子に座ってもらう。
「ええと、知識としてはシースの僕がブリンガーである紫苑さんの武具に変化する……ということでいいんですよね」
正直なところ、『変化する』という実感が全く沸かない。
紫苑:
「まあそうだけど、あまり頭で理解しようとしない方がいいよ。魔法みたいなものだし」
眉間にシワをよせて考え込んでいる彼の様子がちょっとおかしくて、くすっと笑った。
「そろそろ時間かな?ここ、窓はあるの?」
冬海:
紫苑さんの言葉に
「魔法……うん、女神がいるんだから魔法があってもおかしくはないですよね」
とどことなく腑に落ちた感じがした。それから本棚だらけの窓際で唯一開けられる窓を開けると、さきほどまでは出ていなかったはずの風が部屋のなかまで入ってきた。
紫苑:
「月が出てるね」
立ち上がって窓際までいくと少し肌寒い。
「そろそろ時間かな?」
少し緊張してるのが自分でもわかったが、それは悪い感触ではなかった。
「じゃ、行こうか?」彼に向かって手を差し伸べる。
冬海:
「ええ、行きましょう」
差し伸べられた手を取り、握り返す。自分たちの回りにまとわりついている風が普段と違うものであるのがなんとなくわかる。
紫苑:
月光がふたりを照らす。一度大きく息をつく。出陣の時だ。彼の目を見つめ、詠唱を始める。
「闇夜に光を。再びこの剣を我に授け給え。我、君と共にあるならば...」
冬海:
「…我、君と共にあるならば、幾千の夜をも越えてみせよう。花園の女神の祝福を我らに」
その言葉とともに僕は光の粒子となって紫苑さんの身体を取り巻いた。
紫苑:
まるで月からこぼれ落ちたような、銀色の光の粒子。自分の体を包んだ瞬間、それは漆黒の甲冑へと姿を変えていた。手には巨大な両手剣。
「冬海、行くよ」目をふせて彼女はつぶやく。それは再び戦場へ赴く戦士の決意の現れであった。
koto:
お疲れ様でした。ブーケ3個ずつどうぞ!(冬海呼びキター!と喜びつつ)「ブーケ」「ブーケ」「ブーケ」
監督:
幕間、続いて八朔ー顕子ペアとなります。
幕間 八朔―顕子ペア
八朔:
八朔の部屋の台所の片付けも終わり、明日の学園祭で作るおにぎりに詰める具について話していると、窓も開けていない室内にどこからか花の香りがふわりと漂ってくる。
「……どうやら、そろそろみたいッスね」
そう言いながら八朔は立ち上がり、顕子さんに手を差し伸べた。
顕子:
花の香りに包まれるような不思議な感覚に目を細め、顕子も立ち上がり、そっと差し出された手に己の手を重ねる。
「今夜も良き戦いを。八朔さんなら大丈夫ですわ。この戦いが終わったら学園祭ですわね……無事終わったなら」
告げようか迷うような顔で。
八朔:
「無事に終わったら、当日は他のグループの出店する料理も食べるッスよ!」
分校の調理専攻にとって学園祭は貴重な収入源のひとつである。それぞれのグループが全力でもって料理をふるまい、客や教師生徒を唸らせる。まさに互いにとってうってつけなイベントだった。
ふと思いついたので、「自分は午前は店につきっきりッスけど、午後で良ければ一緒に回るッスか?」と訊ねてみた。
顕子:
顔がぱっと明るくなり
「あの、わたくしも出し物の担当が午前中なのです。それが終わったら……ご一緒したいです」じっと見つめる。
なんでこんなに彼の誘いが嬉しいのか、自分から勇気を出して誘おうと思ったのか、胸がもやもやするのを不思議に思いながら。
八朔:
「じゃ、決まりッスね」
と笑って、濃くなってきた花の香りのなか、顕子さんと共に
「みんなが笑顔でおいしいごはんを作れて食べられる世界に!」と誓いの言葉を口にした。
顕子:
「みんなが笑顔でおいしいごはんを作れて食べられる世界に!」
唱和すると顕子は体がふわふわとほぐれるような感覚を覚え、次の瞬間銀色の粒子になった。白と銀の装いで彼の体を包み、手に長く伸びた武器へと変じる。
八朔:
降り注いだ銀の粒子は、八朔の身体をしなやかなコックコートと青い前掛けエプロンで包んだ。所々に銀で施された刺繍が護りの力を高めている。その手に持つ武器はフォークを模した三叉の槍である。持ち手にはコスモスが刻まれている。
「さあ、行くッスよー!」
と八朔が言ったと同時にその部屋には誰もいなくなった。
監督:
幕間、続いて藍ーシトリンペアとなります。
幕間 藍ーシトリンペア
藍:
少し横になってから目覚めると、思考が澄んでいる気がした。世界は俺たちの敵だ。滅ぼすしかない。そんな風に意志が固まった。
起きだしてシトリンと手早く食事を済ませ、リビングで彼女の手を取る。いつもとは違う喜びが触れた手にこもる。
「そろそろだな」
花の香が俺たちを取り巻いた。
シトリン:
はい」シトリンは晴れやかな笑みを浮かべ、藍を見上げた。金色の髪が風に舞う。
「ご武運をお祈りします」
藍:
ふわりと室内に舞い込む風。花園へと導くであろうその風に身をゆだねつつ、己の手に力を軽く込めた。
「この戦いが終わったら」シトリンの目を見つめて。「ずっと一緒だ」
シトリン:
こぼれるような笑顔。
「ずっといっしょ。マスターと、ずっといっしょ」
夢見るようにつぶやく。それは祈りにも似て。
藍:
笑顔に目を細める。この笑顔を永遠にするのだ。
「共にいくさびとの道を歩もう。君とならば、人々の安らかな夢を守れるだろう。笑顔と安らぎの為に、いざゆかん」
柔らかな風になびく彼女の髪をひと房取って口づけて。決意を込めて、はっきりと唱えた。
シトリン:
彼の言葉が終わると同時に、シトリンの姿が金色の光に溶ける。その輝きは藍の体をふわりと包んだ。
藍:
金の輝きが身を包み、そのまま西洋甲冑へと姿を変えた。シトリンの髪の色を思わせる淡い黄金色に輝く、プレートメイル。
柄の部分に大きな黄水晶の嵌められた長剣もやはり淡く金に輝く。胸の前で剣を構えると
「さあ行こう。俺たちはずっと一緒だ」そう呟いて彼は姿をかき消した。
監督:
幕間が終了いたしましたので、最終章に移ります。
※ エコーさんから第一章分として、紫苑/冬海ペアにブーケ12個、八朔/顕子ペアにブーケ15個、藍/シトリンペアにブーケ13個頂きました!
アマミヤさんから幕間分として紫苑/冬海ペアに5個、八朔/顕子ペアに4個、藍/シトリンペアに5つブーケを頂きました!